秘技?! ハタハタの骨の早抜き

シーズンが始まると白米すら食べない?! ストイックなまでのハタハタのみの食卓やいかに

 

秋田県民は「ハタハタの骨の早抜き」という技を持っているらしい。

1.しっぽの骨を折る。
1.しっぽの骨を折る。
2.背側と腹側を揉んで頭を引っぱると、
2.背側と腹側を揉んで頭を引っぱると、
3.骨だけすっと抜けるのだ。
3.骨だけすっと抜けるのだ。

illustrations by Chihiro Kudo

「箸とか使わないで手でどんどん食べるんですよ。しっぽの骨はポキって折って、身をチョチョチョチョッて揉んだら、頭からシュッと抜いて、そのまま手でバクバクって食べられるんだから。だから解禁になると、まずは一気に一人で10匹ぐらいばーっと食べて、あと(ハタハタの)汁もあるんで、焼きと汁で『もうハタハタでえ。あどいいが(もういいや)』って。このときは白米も食べないぐらいだよね。だから時期になれば、どうしたって『ハタハタ買いに行かねば』ってさ、なるわけよ。

 

漁協とか、浜まで買いに来る人もいるよ。『箱あるか?』って言ってなければビニール袋二重がけにして、『それさ入れて持ってぐからいい』って、それで10キロ20キロ買ってって。家で食べる分やら漬ける分やら急いで作業して、んで、あと県外に住んでいる人に『時期来だよ』って送ってやったりとか。秋田で生まれて育った人は、時期になればハタハタを食べないと、やっぱりだめなんでしょうね。(工藤さん)」

 

工藤さんは今年初めて、北浦漁協でハタハタのオス・メスの選別作業を手伝ったという。

 

 「1回行くともう50キロぐらいもらうの。それで漬けましたよ、(ハタハタ)すしに。1日置くともう活き落ちてダメだっていう魚だから、もらったらもう、延々と頭を落とし、内臓をとり、

切りずしにするったら2、3枚に切って、それをたらいの上に山のように積み……ってやるんだよね。

 

干したりもしますね。さっと醤油に漬けたものを干して、ハタハタのすだれみたいにして。うちのばあちゃんも醤油とみりんに漬けたの干したりするけど、あれをちょっと炙って食べるともう、本当においしいの。いくらでも食べられちゃう。

 

それこそハタハタはあんまり火を入れると崩れるから、『馬の鼻息かかってら、あどいい(もういい)』って。腹壊すべって思うけど、それぐらい、火を通すのはさっとでいい魚だと言うんです。」