Report

皆川嘉左エ門氏とめぐる県南地方の旅

 

県南ツアー
2015年10月18日(日)
9:00~17:00

タイムスケジュール

8:50 秋田公立美術大学 集合
9:00 秋田公立美術大学 出発
10:00 皆川嘉左エ門アトリエ見学
11:05 減反画廊レクチャー
11:20 道祖神鹿島様見学(湯沢市 岩崎八幡神社・水神社)
12:45 昼食 デリカテッセン&カフェテリア 紅玉
13:25 道の駅「十文字」
14:30 重福寺 仁王門見学(住職:国安格典氏レクチャー)
17:00 秋田公立美術大学着


皆川嘉左エ門氏とめぐる

県南地域の旅 その①

 

バスツアー第2弾は、秋田県南部(横手市・湯沢市)をめぐる旅。
そこで突如浮かび上がった人物。
それが、孤高の彫刻家・皆川嘉左エ門(みながわ・かざえもん)氏です。

『嘉左ヱ門 その生きざま』 

(イズミヤ出版、2002)


「農民の暮らし」をテーマにした木彫、鋳金の作品を多く制作してきた嘉左エ門氏は
生まれも育ちも、創作の場もずっと地元の横手市であるという、
元祖・ローカルアーティストでありながら、
作品の注文は日本全国から舞い込み、
果ては紅白歌合戦の審査員に出場したこともあるという、全国区でご活躍のアーティスト。

県南地域にたくさんある、嘉左エ門さんの作品を作家ご自身と辿りながら、
「地域×アート」の糸口を探ります。

 

「秋田県南部」、略してケンナン

 

バスに揺られ、この日一同が向かうのは、秋田県横手市と湯沢市。
秋田では「県南部」のことを「ケンナン」と呼び習わしています。

県外の人がイメージする「秋田といえば、かまくら」というアレ、
実はこの県南地域のこと。
内陸の両地域は降雪量が秋田県でも随一で、
人口5万人以上の都市の平均年間累積降雪量ランキングでは
横手市 798cm(全国3位)、湯沢市 754cm(全国4位)となっています。

県南は古くから稲作などの農業が盛んで、近年ではりんご、ぶどう、さくらんぼなどの
果樹の生産により、金銭的にも豊かな地域であるというのが、秋田県内の印象。

のどかな田園風景と明るい日差し。
そんな田舎に住む生粋の県南人アーティストが、
皆川嘉左エ門さんです。

 

彫刻家・皆川嘉左エ門さん
彫刻家・皆川嘉左エ門さん

 

この日のガイドは、嘉左エ門さんの実の息子で
秋田公立美術大学アーツ&ルーツ専攻准教授・皆川嘉博先生。

 

ご専門は彫塑表現研究 テラコッタ(素焼彫刻)表現研究。1968年生まれ。長渕・ハマショーにハマる青年時代を過ごす。
ご専門は彫塑表現研究 テラコッタ(素焼彫刻)表現研究。1968年生まれ。長渕・ハマショーにハマる青年時代を過ごす。

 

皆川先生「おはようございます。皆川です。今日は皆さんと一緒に県南地域を回ります。
私は生まれも育ちも横手市です。
皆川嘉左エ門、つまり私の父の代から彫刻をやっていて、私も大学で彫刻を学びました。
今回のテーマは、ズバリ「継承」です。

県南地域は農業が盛んですが、今どの地域も抱えているのと同じ問題、
つまり「継承」がとても大きな課題になっています。
どこを見渡しても、後継がいないんです。
それは「農業はカネにならない」「大変だから嫌だ」といって
僕ら世代が県外に出てしまっているからなんです。

私自身も父から彫刻というジャンルを「継承」しているとも言えます。
もちろんジャンルは同じでも、作風などはまったく異なりますが。

父は農民芸術家として、彫刻に関してはなんら専門教育を受けず、
今の秋田よりももっともっと貧しい時代のなかでも
彫刻作品を作り続けてきた人間です。
その父の作品が県南にたくさんあります。
今日はその作品を皆さんとともにめぐりながら、
嘉左エ門がなぜ、作品を作り続けてこられたのか、
地域とアートをどのようにつなげてきたのか、ということを
学んでいければと思います。」

 

 

 

                          →皆川嘉左エ門氏とめぐる県南地域の旅 その②へつづく