第1回 畠山鶴松の落書き|シンポジウム・フィールドワーク
第2回 なべっこ遠足|フィールドワーク
第3回 ”小さな問題”から捉える朝市|フィールドワーク
第4回 森を学び、木を食べる|フィールドワーク
第5回 五城目町を博物館に見立てるなら|フィールドワーク
[講師]
藤 浩志(美術家/秋田公立美術大学教授)
浅利絵里子(秋田県立博物館学芸員)
〜プログラム〜
9:00 ものかたり集合
9:15 オリエンテーション
9:30 フィールドワーク
10:30 ものかたり集合、フィールドワークの成果発表
昼食
13:30 浅利さん、藤先生の講義
15:00 解散
★持ち物
①フィールドノート(持ち運びやすいクロッキー帳やスケッチブックなど)
②筆記具
最終回となるこの回の企画「五城目町を博物館に見立てるなら」は、コーディネーターの柳澤さんの「ある実感」からスタートしたのだった。
柳澤さんは地域おこし協力隊として2013年から五城目町に移住。持前の明るさと人懐こさで、五城目町民のハートをつかみ、家に手ぶらで上がり込み、気づけばごはんをごちそうになるという人たらしな日々を3年間続けてきた。
その彼の個人的な実感とは「この町、お宝多くね?」ということだったのだそうだ。
柳澤「五城目町は昔から朝市の立つ場所として人が行きかい、木材などを中心とした林業で大変に栄えた時期のあった場所です。五城目の人たちは『この町には何もない』と口ぐせのようにいうけど、僕としては、『実は意外にこの町、お宝多くね?』と思ったわけです。ということで、今日は、受講生の皆さんに五城目町の文化財がありそうなスポットをフィールドワークしてきてもらいます。」
・荒要商店 (古道具)
・高性寺 (大根絵馬)
・五城目朝市ふれあい館 (昔の朝市の写真資料、イラスト)
・あったかサロン (地域のおかんアート)
・五城館 (地元の作家・矢田津世子の資料)
・渡邊時計店
(ノーベル平和賞のシュバイツァー博士と親交のあった五城目町のお医者さんに関する資料)
・山平薬局 (絵画、美術品など)
今日の講師は秋田県立博物館の学芸員で植物学がご専門の浅利絵里子さんと、美術家で秋田公立美術大学の藤浩志先生。最初に文化財を普段の仕事で取り扱っている浅利さんから、町で文化財を見つけてくるときの心得が語られる。
浅利さん「本来私たち学芸員は町に入るとき、事前に調査をしますが、今回、皆さんは下調べなし、ぶっつけ本番です。自分の感じたものをとにかく記録してください。これから1時間、フィールドワークをしたのち、お互いに発表しあいましょう」
文化財なんて急に言われても……、とメンバーは戸惑った。文化財なんて、「これは文化財ですよー!」という看板でもないと、ちっともありがたがれない。それを見越したように、浅利さんは言った。
浅利さん「文化財って、皆さん『よくわからないけど、きっとすごいものなんだ』というふうにお思いでしょう。でも、《最初から文化財》なんて、どこにもありません。どんな貴重な文化財だって、もともとはただのモノ。そこからのスタートなんです。だからこそ調査員さんの感性が重要です。一人一人が、何に対して心を動かされ、それを『残したい』と思うか。それがまず重要な一歩なんです」
それでもまだ途方に暮れている受講生に向かって、浅利さんは急にこう言い放った。
浅利さん「では、こうしましょう。この五城目町は、あと1時間でダムの底に沈みます」
は? ええ~~!!
突然の宣言に、受講生たちはどよめく。
浅利さん「イメージしてみてください。皆さんはあと1時間で沈む、このまちの調査をまかされました。そこで50年後、100年後まで残すべきものとは? 五城目町がダムの底に沈んでも、これがあれば五城目町がわかるというなにかを、調査員として探してきてください! はい、行ってらっしゃい!」
1時間後、「調査員」に任命された受講生たちがものかたりに三々五々、戻ってくる。
浅利さん「では皆さん、それぞれ見つけてきたものを発表してください」
メンバーはそれぞれが見てきたもの、感じたことを発表していく。
荒要商店 (古道具)
高性寺 (大根絵馬)
五城館 (地元の作家・矢田津世子の資料)
渡邊時計店 (ノーベル平和賞のシュバイツァー博士と親交のあった五城目町の医師に関する資料)
山平薬局 (絵画、美術品など)