Report

男鹿半島空き家ツアー(前編)

2015/9/14(SAT)


秋田市から 男鹿へ

 

 9月12日、午前9時30分。我々一行は、秋田の車窓から外を眺めていた。

 

 

 左手には日本海。秋の海は穏やかだ。

 

 

  その穏やかさを破るのが、これ。

 

 

秋田県民にとってはお約束の、男鹿総合観光案内所のシンボル「なまはげ像」である。

  

「来る、来る」とわかっているのに、ちょっと動揺してしまうのは、全長15メートルというばかでかさのせいだけだろうか。
「来る、来る」とわかっているのに、ちょっと動揺してしまうのは、全長15メートルというばかでかさのせいだけだろうか。

 

ここから、男鹿。

「秋田といえばなまはげ」と、全国区に知らしめ、

熊本の「くまモン」よりずっと前から

秋田中を席巻し続けている、ゆるくないキャラ、

「なまはげ」発祥の地である。

 

そこからバスに揺られることさらに約30分、

ようやく今日のガイド、

里山のカフェ ににぎの猿田真さんと合流。

 

 

猿田 「どうも、猿田です。今日はよろしくお願いします」

 

 

1軒目の空き家

 

猿田  「午前中は北浦地区を回ります。北浦はそんなに広くないんですけれども、

     お寺が4つもあります。かつてこの地域は漁業と農業などで大変栄えた土地でした。」

 

猿田さんの上手なガイドぶりに感動しつつ、右を見たり、左を見たりして歓声を上げる一行。

突然、猿田さんの調子が変わった。

 

 

猿田  「みなさん、ここが北浦地区のメインストリートです!」

 

一同、周囲を見回す。
先ほどまでとそう変わらない風景。

道路沿いの営業しているお店はわずか数店で

中心地らしい町のにぎやかさは感じられない。

 

 

編集部 「あのぅ、確認ですけど、ここはメインストリートなんですよね?」

猿田  「はい!(きっぱり)」

一同  「……」

 

 

 

困惑を隠せない一同を尻目に、猿田さんはキビキビと皆を仕切る。

猿田  「さあ、ここが1軒目の空き家です。留守を預かっていらっしゃる、

     鹿嶋医院の鹿嶋秋五先生です、拍手~」

 

 

 

鹿嶋先生 「こんにちは、鹿嶋です。ではさっそく見てみましょうか」

 

 

 

鹿嶋先生 「ここです。8人ぐらいずつ、入りましょうか」

 

 

玄関を上がると、右手に風呂、左手にはトイレ。その先に台所と茶の間、奥にも和室が2部屋。
玄関を上がると、右手に風呂、左手にはトイレ。その先に台所と茶の間、奥にも和室が2部屋。

 

編集部  「ここ、お家賃はいくらですか?」と尋ねると、

鹿嶋先生 「そうですね、決めていませんが、高くても2万円というところでしょう」

 

に、2万円!?

 

2軒目の元・空き家

 

2軒目は今、住居として使われている元診療所。

現在、お住まいの方がいらっしゃるので、外観のみを見学。

 

 

古い家でも、人が暮らしている気配というのは、少し町をほっとさせるものがある。
古い家でも、人が暮らしている気配というのは、少し町をほっとさせるものがある。

 

たまたま徒歩で通りかかった近所のお母さんに話を聞くことができた。

近所のお母さん 「あたしが嫁に来た頃は、この辺もニシン漁だとかの遠洋漁業の人で賑わってて。

         そこもパチンコ屋さんだったんだよ、手打ちの。

         そうだよ、手打ち。40年ぐらいになるかな、閉めてから。」

 

 

さて、ここは本誌でもハタハタの取材をした

北浦漁港もほど近い場所のはずだが……。

(くわしくは「本隊接岸 ~ハタハタフィーバーの謎を追う~」へ)

 

 

 

「……ここ、本当にあの漁港?」

 

 

ちなみに冬はこうだった。

 

 

男鹿の気候のツンデレ具合がやはり半端でないことを再認識し、

あまりの振れ幅にひっくり返りそうな、ユカリロ。

 

そんなユカリロの心中を知る由もない一行は

にぎやかに、ほがらかに、

猿田さんの営む「里山のカフェ ににぎ」にて昼食を囲むのだった。

 

 

                                       男鹿半島空き家ツアー後半へ続く